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コスワースの苛立

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コスワースのマーク・ギャラガーがヘレス・合同テストを振り返った。
続き
チーム・ロータスがルノー・エンジンにスイッチしたことにより、2011年はウィリアムズ、ヴァージン、HRTの3チームにエンジンを供給するコスワース。今回のヘレス・合同テストはHRTが欠席し、ウィリアムズがKERS搭載のCA2011k、ヴァージンがKERS非搭載のCA2011でテストを行い、最終日にはウィリアムズのバリチェロが全体のトップ・タイムを記録した。コスワースのマーク・ギャラガーは「ヘレス・テストはチームにとって新車での走行距離を重ねるために、ドライバーにとってはシーズンに向けての準備のため、有意義な機会となった。今の段階でラップ・タイムは意味をなさないが、タイム・シートのトップにコスワースの名を見るのは嬉しい。ウィリアムズは2日間でかなりの距離を走り込むことが出来た。ヴァージンは、初めてコース上で2011年のパッケージを見れて満足。最終日にはオイルポンプの問題があったが原因は調査中だ。次回のバルセロナ・テストではより多くのデータを収集できるだろう」 と語った。

昨年、ウィリアムズ、ロータス、ヴァージン、そしてHRTの4チームへのエンジン供給で、4年振りのF1復帰を果たしたコスワース。一説にはFiAから新興3チームに対してコスワース・エンジンを使用することが参戦の条件だった、との噂もあったが、初年度を終えてチーム・ロータスがルノー・エンジンへのスイッチを決定、2011年シーズンに向けて全チーム中、唯一のエンジン変更だったためにコスワースはロータスに「捨てられた」との印象が強い。更に今季はKERS搭載/非搭載の2種類のエンジンを準備しなければならない。事実、今回のヘレス・テストはHRTの欠席によりKERS搭載がウィリアムズ、非搭載がヴァージンのみとなり、お互い1チームずつの合同テストではデータ共有/比較が出来ないジレンマに陥っている。また、ルノーもロータスがKERS非搭載でシーズンをスタートすることが決まっているが、こちらは搭載ヴァージョンをレッドブル/ロータス・ルノーGPの2チームで開発出来る。しかしコスワースはウィリアムズのみでKERS搭載ヴァージョンを熟成して行かなくてはならないのである。しかもウィリアムズは新人のマルドナドが未だピレリ・タイヤの挙動に慣れず格闘中、これではバリチェロとのデータ比較も困難だ。
1960〜70年代に「フォード・コスワース」として大成功を収め、F1通算176勝を誇るレーシング・エンジンの代名詞、コスワース。昨年の第18戦ブラジルGPでは久しぶりのポール・ポジションを獲得(ニコ・ヒュルケンベルグ/ウィリアムズ)。今シーズンは是非177勝目を見たいところである。