2010/05/21 up

─ 加瀬竜哉 + peep  共同 report ─


"何をやっても4年続かない男"であるオレが5周年、というのは極めて異例なことであり、そして実際に違和感と意外性のカタマリ、である。これまで常に"見切りと見極めの狭間"を生き、ある意味そこでの自分の決断を尊重し、結果的に"終わらせる"ということで次のステップへと繋げて来た人生なので、それを"続ける"というのが如何に困難なことか。そして今回、オレは文字通りそれを痛感した。
.....こうして文面にも残す以上、後世まで誰かを騙し続けるのも何なので正直に言うと、実はイベント開催直前に体調を崩し、1ヶ月間入院していた。で、3月の発表の時点で果たして本当にイベントが開催/出演出来るのか、という局面にいた。つまり、サイトの5周年どころかオレ自身がその"継続"に疑問符がつくような状態だった。もちろん誰にも言わない。抱え込むのはオレの真骨頂。ごく少数のスタッフ/関係者のみ知る情報であり、イベントの出演者の皆も含め、その間も加瀬コム関連は何事もなく進行。で、その間オレが出来る事は健康回復への努力とジレンマに対する忍耐と.....せいぜい祈ることくらい。で、ようやくGW直前になって娑婆(爆)に出て来れた。「何で髪切っちゃったんですか」.....早矢香の質問に「気分」と答えたのはその場凌ぎだった。皆、ゴメン。「無事に5周年」.....無事かどうかわかんないけど、多くの方に支えられ、そして本人が歯を食いしばり、どうにか5周年!。最初に言っちゃうけど、皆本当にありがとうな。

2005

2006

2007

2008

2009

2010

ついに....ついに5周年!「加瀬竜哉・4年のジンクス」をぶち破り(爆)、加瀬コムついに5周年を迎えることができました!これも応援してくださる皆様のおかげ、ありがとうございます!
....とはいえ、前述のとおり、主役である加瀬さんの体調不良もあり、実際準備は薄氷の上を歩く如しでした。が、それを支えてくださる方々、協力してくださる方々のおかげでどうにかこの日を迎えることができました。もちろん、主役・加瀬竜哉の姿も在るべき場所に在りました。あたりまえのことが出来た、こんなに嬉しいことはありません。すごく重みのある「あたりまえ」、感謝感謝です。

さて、そんな加瀬コム5周年記念イベント"club・加瀬コム2010"。実は昨年末の企画の段階から見ると、内容も出演者も結果的に大変更。ただ、FROGだけはずっと決めていた。「5周年はFROGとチェルシーで」という構想。沖井氏にオファーしたのもセカンド・アルバム"Caricature"制作の頃だったので開催1年前。
10年以上に渡ってオレの音楽探究心をくすぐり続ける盟友・沖井礼二。'04年のCymbals解散後、外からは作曲仕事で水面下にいるように見えている時期も、オレ達は共に良質な作品を創り続けて来た。が、FROGというプロジェクトの誕

"Caricature"/FROG(2009)
生により、ようやく彼自身が再びリッケンバッカー持って人前で暴れる準備が出来るまで、オレは待っていた。で、当日MCでも紹介した通り、この"オレの故郷"にあるハコ・渋谷CHELSEA HOTELにはオレと沖井、そしてCymbalsとそのファミリー、ファン達の想い出が存在していた。7年前に呼ばれたのはオレ、7年後はオレが呼ぶ番.....その7年の月日を経て、初めての"舞台上共演"という機会。そこでの悪友同士の悪巧みは.....長く彼を応援して来たファンにとって最高のプレゼントになったと思う。言い出しっぺ?、オレじゃないよ!。あんな大それたアイデアはオレからは出ない。あまりにも光栄過ぎて正直、恐縮。

AS CUBEはこれまた紹介の通り、オレの常識内には存在しない集団。だって、楽器なんて演りたいヤツが勝手に選んで演るモンだろ?。バンドなんて、誰に頼まれるんでもなく、やりたくてやるモンだろ?。そうじゃないヤツなんて、少なくともオレの周りにはいなかった。新春スターかくし芸大会じゃあるまいし、義務や仕事で楽器を覚えるなんていう前例はない。
何でそんな集団と絡んだのかと言えばclub・加瀬コム2008にも出演してくれたAN'S ALL STARS。TV番組連動のAS CUBEのCD制作には、オレがプロデュースするAN'S

"未来"/AS CUBE(2009)
ALL STARSがAS CUBEをプロデュース、という声優縦社会のラッキーなオマケが付いていた。.....いや、これホントにラッキー。正直、AN'Sもオレも絡んでなかったらこのクオリティはネエぞ!(爆)。少なくともそこに"加瀬竜哉"の文字が入る限り、恥かかすような音源制作は絶対にありえないので、彼女達は初めから相当にラッキーだったワケだ。番組内でオレのことが「レコーディング業界の怪物」と言われてたのは、その技術とセンスを知ったスタッフの本音の筈。スピリットとリアリティ、そして商品価値との絶妙なバランス。そう言う意味じゃオレにとって、この2年間で相当にプロフェッショナルな作品のひとつがAS CUBEと言えるかも知れない。.....で、問題は本人達だ。TVも終了、プロデュースも終了、さて、どーする???。

さて、3ピース・バカ・パンクの逆EDGE。前回のclub・加瀬コムに出演してくれた松尾太一率いるエモ・トリオ"HIBIKI"は、3ピースという枠の中でひとりのカリスマが吠えるスタイル。今回の3ピースはどちらかと言えば逆の、3人でひとつのピース、という形。昨年ベーシスト脱退を受けてヴォーカルの川崎秀一がベースも兼任するようになり、どういうワケが結果的によりバンド色が濃くなった。奇しくもレーベル・メイトのかりゆし58もベース兼ヴォーカルだけ

"千葉物産展"/逆EDGE(2008)
ど、逆EDGEはステージ上で決して川崎ワンマン・バンドではない。それが、よりバンドらしい不思議な部分。
で、実は川崎君、かのLD&Kレコードのパンク部門を仕切る有能なプロデューサーでありつつ、radio・加瀬コムでの暴露(笑)にもあった通り渋谷CHELSEA HOTELの店長さん。オレ自身、過去にも自分主催のイベントを企画させて貰っている。最新ライヴ・ハウス事情を誰よりも良く知るポジションからの目線で培った自身のバンドが、ホームでどんなアクトを魅せてくれるのか。

.....という3組に決まったのは年明け頃。体調不良もあって色々悩んだのは事実だけど、目標があれば頑張れるのが生身の人間。開催はGW明け、退院後のリハビリもクソもなく、ええい突入だ〜!(.....)。

今回5周年を飾る会場/渋谷CHELSEA HOTELは、以前"flowers"発売記念イベントでもお世話になったり、その他の音楽活動でも、また立地条件(?)からしても、加瀬さんにとっては縁浅からぬ会場です。
出演者は加瀬竜哉、逆EDGE、AS CUBE、そしてFROG。

私がFROGこと沖井礼二さんと初めてお会いしたのは、FROGの1st album "EXAMPLE"のレコーディング時。そのずっと以前から、加瀬さんとの深い繋がりはお聞きしていましたが、レコーディング時に目の当たりにすると、それは予想していたものをはるかに超えていました。その妥協の無さや厳しさがあってこそ、あのすばらしい音楽たちが生まれるんだなと。二人の阿吽の呼吸も唖然としてしまうほど。今回、club・加瀬コムに出演を快諾していただけたのは、二人の繋がりがあればこそ。

AS CUBEは、やはりそのTVの企画であるレコーディングで初めて出逢いました。そう、自分たちの意志でないにも関わらず、楽器を手にレコーディングしなければいけない....加瀬さんやAN'S ALL STARSの皆さんに支えられて、音楽的には何も心配要らないけれども....同じ女性として/ギターを弾いてバンドをやっていた者として何かしてあげられないかと考えはしたものの、やりたくて始めたわけではないし....(汗)。一体どう接していいものやら最初は見当もつきませんでした。でも彼女たちはひたすら一生懸命で、思わず応援せずにはいられない気持ちに。CD「未来」完成時には本当に感動しました。
....が、あれから1年。果たして「バンド」として存続しているのか???という疑問を持ちつつオファーしてみると、「演ります!」と即答。わかりました!やる気は満々!問題は....本当にできるのかという不安(汗)。

逆EDGEは、2年前のclub・加瀬コム2008に「お祝いメッセージ」をいただきました。が、私はご本人たちにお会いしたことがなく(汗)ただ、リーダーの川崎さんはCHELSEA HOTELの支配人として何度かお目にかかったことのある程度....。今回の出演者の中では唯一、私に前知識のないバンドさんです。が、名曲「千葉物産展」や、何よりも加瀬さんの推す屈指のパンク・バンド。前知識のない分、余計に期待が高まります!



渋谷CHELSEA HOTELは渋谷区宇田川町、オレの母校の小学校のお隣で、生家から5〜6分の場所。この勝手知ったる地元での主催イベントは2度目。'07年にオレがプロデュースしたガール・ポップ・コンピレーション・アルバム"flowers"の発売記念イベント、fowers in the night vol.2 "bloom"をここCHELSEA HOTELで開催した。'70年代にレストランだった場所を改造、かの渋谷系レーベル、LD&Kが所有するハコ.....つまり本日の出演者の内、逆EDGEはホーム、元CymbalsやRunt Star、そしてNorthen Brightのメンバーらで構成されるFROGも半ホームのようなもの。オレ自身、社長にも昔から世話になってるし、MCでも言った通りこのハコのほぼこけら落としイベント、'03年のCymbalsのアルバム"Love you"の発売記念イベントで"関係者で結成するCymbalsカヴァー・バンド"のギタリストとして出演したのが最初。なのでオレにとっては場所良し/音良し/見た目良し、ついでにメンツ的にもベスト、キャパシティもこれまでのclub・加瀬コムと比べると2倍近いハコ。
それとココの強みは何と言ってもD.J.ブースの存在!。思えば1周年の品川カミカゼハウスはステージ付きのダーツ・バー、カウンターの脇にブロックを20個積んで即席D.J.ブース制作、エレベーターなしの5階にブロック運ぶだけで腕が終了した(爆)。3周年の下北沢Cave-Beはスペース的にもキャパ的にも目一杯だったのでD.J.ブースはステージ袖(笑)、WMCの森久保祥太郎と共に殆どステージ上で喋った。今回はステージ上のライヴ・アクトとトーク用のD.J.ブースが完全に分けられるのが最大のポイント。'07年のflowers in the night vol.2"bloom"ではオレは一言も喋らず、トーク/進行は全てflowersの面々にやらせ、自分は選曲のみ、というスタイルだった。なので今回が実質的に初めてフル活用する機会。

抜けるような青空の下、午後2時地下へ(笑)。スタッフ、出演者の方々が続々と会場入り。今回に限ったことではありませんが、このclub・加瀬コム出演者の共通点は「加瀬竜哉」。つまり出演者同士に繋がりはなく、初対面。なかでも一際緊張した面持ちで会場入りしてきたのはAS CUBE...そりゃ1年ぶりのライブですもんね。しかもその結成の経緯からバンドとしていろんな「庇護」を受けてきた彼女等が、今回初めて自分たちの足で、意志でどんなふうに立ち上がってどんなステージを見せてくれるのか楽しみ。
毎月発行されている、CHELSEA HOTELのマンスリー・スケジュールパンフには「PICK UP!」に大きく今日のイベントが。こんなふうにどーんと紹介されてて期待も煽られます!



サウンド・チェックはFROGと、アンコールで合流するオレとのコラボでスタート。事前に何度かスタジオ・リハーサルを重ねて来たが、GENちゃん+沖井+坂+オレ、ってのは演奏的になかなか渋いメンツ(笑)。長く乙部(AN'S ALL STARS他)みたいなグルーヴ・ドラマーと演って来たオレにはGENちゃんのようなスチュワート・コープランド的な前ノリドラマーは凄く新鮮。で、そこに更に前へ行く沖井ベース。なので2拍目と4拍目は完全にオレの独壇場の位置。ハッハッハ。こりゃ面白い(謎)。ついでに、坂のヴォイシングがツボ。ピアノ・ロックにペンタトニック・ギタリストが乱入する感じ、オペレーターに「ベン・フォールズにジェフ・ベックが入った感じね」と言ったらポカーンとされた(アタリマエだ)。
ラスト2曲は全員、更に青野りえ、見津優、新井仁。しかしこのプロジェクトはソロでも充分に稼げるメンツが勢揃いだ。ゲスト扱いのオレが「どれだけやって何処で退くか」.....セッションの最も面白いトコロ。それを充分に堪能。
FROGは構成音も人数も多いけど、フロアにはとても良いバランスが響き渡る。.....考えたら、いつも彼らのレコーディングを仕切ってるオレ、当然と言えば当然だけどメンバーが一堂に会する場面はない。ドラム録りはGENちゃんだけ、歌録りは青野だけで行う。それがバンドではなくプロジェクトの性。で、こうして全員がせーので演る中に自分も身を置くと、これまた次のレコーディング・セッションにメチャクチャ役立っちゃうんだな。もっともそれはミュージシャン兼エンジニアのオレだから言えることでしかないワケで、そうして次回作にこの経験を活かすこともオレの仕事のひとつ。そういう"特殊技能"的な部分まで、沖井は評価してくれているのだろうと思う。FROGに続いてはno river,no lifeのコーナー。今回は坂和也大先生にお手伝い頂き、今までのスタイルとは違う方法にチャレンジ。何しろお互いがアドリブ。あうんの呼吸と先読み、そして運。だからあんまり細かく演らないし決めない。それが、信頼出来るミュージシャン同士の最も正しいやり方。あとは本番を楽しむのみ。よろしく!。

リハーサルは逆順で、FROG+加瀬さんから開始。....なのに、既に各自楽器を手にフロアで落ち着かないのはAS CUBE(笑)。そんな彼女らの本業が声優さんだと聞いたFROG/Vo&Gの新井さんのマイク・チェック。「冬 が ヒート ○ック なら 夏 は....」と、突然ご存じ有名衣料品店のCMを始め、???と思ったら「あの声、オレなんですよ」.....似てるはずだ!本物だ〜!(笑)すると今度は横で加瀬さんがすかさずギター・チェックで某缶コーヒーのCM曲を弾き、「コレ弾いてるのオレ〜!」こっちも本物だ〜!(笑)これでかなりAS CUBEの緊張もほぐれたかな(笑)。そんなお遊びもありつつ、そつなくFROGのリハ終了。ライブを重ねているとはいえ、プロジェクト・バンドなのに、これだけの呼吸の合い方はさすが。個々の仕事をきっちりこなせるメンバーと、それをまとめる沖井さんの才能に感嘆。
続いて、ピアノの坂さんと加瀬さんだけがステージに残り....とあるリハ(謎)。今日のno river, no lifeはひと味違いますゾ。ふふふ。



さて、ステージ上が一旦さっぱりし、フロアで緊張で壊れそうになってたAS CUBEの出番。彼女達はライヴそのものが1年以上ご無沙汰。正直、良くぞ今日まで解散/自然消滅せずにやっててくれたな、と思う。んで、やってたんだから何か成果がなくちゃ無意味。それがこのイベント、ってだけ。オレだって1年間AS CUBEを見守って来たってワケじゃないし、dragonlionやbazooka-studioのスタッフとたまに「AS CUBEどうしてるだろう」と想い出し、世話役のAN'S ALL STARSに近況を聞くと仕事(本業の声優)がタイヘンで.....みたいなリアクション。ほぼダメ元で「やる?」と聞いたら「やります!!!」という答。.....まず、嬉しかった。あれほど"面倒だった"音楽は、ちゃんと彼女達の好きなものになってた。もう、それで充分。あとは、物理的/技術的な問題だけ。この1年間をブランクととるか、成長過程と見るか。このリハーサルでオレの答は「成長」への確信に変わった。だって、上手くなってたし楽しそうだし。
今回はスタッフなし/完全にバンドのみ、さて機材関係も何もかもままならない。もっともそこは承知の上でのブッキング、彼女達が最も心強いと思える存在.....レコーディング時にアシスタント・エンジニアを務めたウチ(bazooka-studio)のN藤君をスタッフ配置。こりゃまた喜んで貰えて良かった。

続いてAS CUBEのリハ。会場には彼女らのプロデューサーであるご存じAN'S ALL STARSから激励の大きなお花が届いて一同感激。さらに彼女らの「未来」レコーディング時に加瀬さんとともにエンジニアを務めたN藤さんが、当日スタッフとして来てくださってまして、彼女らにとってひとりでも知った顔があるのはとても安心材料になるらしく、セッティングもいろいろとアドバイス受けたりしながら順調に進みます。何だか、「バンドっぽさ」が増してる感じ。とはいえ、本当に1年以上ぶりのステージ。さてその健闘ぶりや如何に!?



逆EDGEにとって渋谷CHELSEA HOTELは完全なホーム、なにしろ最後の出演はつい10日前、しかも普段のリハーサルも行ってる場所.....ん?、何故ならリーダーの川崎氏がこの店の店長だから。よって、オレがこのハコで行うイベントでモニターするのに、最も相応しいバンドが彼ら、ということになる。
ロック・バンド最小編成の3ピース・トリオである彼らの最大の強みはバランス。そこに個人プレイヤーはひとりもいない。その代わり、出しゃばるヤツもいないってこと。何しろ川崎氏がベースを弾き始めたのは昨年の逆EDGEベーシスト脱退による突発的な事故(笑)がきっかけ、よって技量を問うのは筋違い。でも、問題となるような演奏はしない。ちゃんとまとまってて、ちゃんと聴かせる。実はそれってAS CUBEには出来ないこと(爆)、でもひとつだけ、ロックに必要な要素として"スリリング"という分野に於いては、ある程度以上のまとまり感はネガティヴな要素になる。「3人は決めやすいんです」.....そう、多数決になると答の出し方がシンプル、でもそれが罠。爆発するパンク魂、それを退屈せずに聴かせ、見せるのが最も難しいのがトリオ編成。「いつものように」サラッとやってのける彼らだが、今日は先輩格としてそこんとこを上手く見せてやって欲しい存在。

そして、オープニングを飾る逆EDGEのリハ。3ピース・パンク・バンド、しかも会場はホームということもあって、実にシンプル且つスピーディなリハ(笑)。今日はトップ・バッターとして切り込んでいただくだけあって、その勢いはスゴイ。3人で出してるとは思えない音の厚みとまとまりはお見事。



ほぼ定刻通りに全てのリハーサルが終了。オレはD.J.ブースに陣取り、回線をチェックしつつ、数日前に完成したばかりの"radio・加瀬コム2010"をデモplay。これは今日のイベントでも全入場者に配られる。ま、オレからのささやかなプレゼント、結婚式で言えば引出物みたいなモンだ。これも今回で3回目、謎の加瀬コム管理人とゲスト陣と共にシークレット・トークが炸裂。今日のイベントが上手く行って、そして皆の想い出にも残ってくれたら嬉しい。そのための記憶呼び覚ましアイテムがコレ。
さ、いよいよ開場/開演。

リハが終わると余計気分が焦ります(汗)。何か忘れてないか、何かしといたほうが良いんじゃないか....とまぁ、ライブ直前はいつもこうなんですけど。そうこうしているうちに会場の外には長蛇の列。あぁ余計焦る(汗)。でも、ここまでほぼすべてスケジュールどおりに進行。それは誉められる....かな。いや、何よりも来てくださる方々に楽しんでもらえることがいちばん。



あまりにも全てがスムースに行ったために、完全オン・タイムでのスタート。
今回もオレは開場と同時にD.J.スタート、つまり最初のアクターはオレ。.....そりゃま、最大年間約300枚っていう数字が表している通り、オレ自身が制作に何ならかの形で関わった作品、ってのは世の中にモノ凄い数が出回っている計算になる。それがメジャーであれインディペインデントであれ、エンジニアリングであれ演奏であれ、ひとつひとつを愛し、大切に取り組んだ結果だと思う。そういう出逢いや関係の中から日々新しいものが生まれ、そしてリスナーの皆さんの耳に届き、何かしらの感情変化に自分の仕事が影響を及ぼしているのだと認識している。責任重大、でもやることはカンタン。だって、皆と同じように「いいね、コレ!」と想える方向に進むだけだから。
というワケで今回のD.J.marutaの選曲はズバリ、全てオレが関わった作品達。アレンジ、演奏、ミックスやマスタリング、オレが音楽業界で出来るあらゆる事柄を駆使して生まれた作品/アーティストを皆にもご紹介。で、当日も多くの"当事者達"がゲストで来てくれた。感謝。








いよいよです。18:00開場!
例によって開場と同時に開演となるclub・加瀬コム。今回もD.J.marutaが自身に縁のある曲たちで来場者をお迎えします。
会場・CHELSEA HOTELには豪華なD.J.ブースが設けられており、とても便利。....が、今回はD.J.のためだけに使うのではないのです。というわけで開場間もないうちにまず加瀬さんにつかまった(爆)のはウロウロしてたAS CUBEの麻佳ちゃん。ブースに引っ張り上げられて突然のトーク・タイム(笑)。
そして、会場には加瀬さんの人脈の広さを伺わせる顔があちらこちらに.....。このイベントのためにミュージシャン仲間が多数駆けつけてくれました。その中から加瀬さん指名によるトーク・ゲストが続々と。まずはシンディケイトのまぁやくん、沙美くんが登壇(笑)。前回/2年前のclub・加瀬コムには出演してくれたシンディケイトですが、当時このおふたりはまだ加入してませんでしたね。より「ダサかっこいい」に磨きをかけて欲しいものです!そして次に客席から引っ張り上げられたのは、ave;new御一行様。佐倉紗織さん、白沢理恵さん、そしてa.k.a.dRESSさん。「5周年おめでとうございます!」と、キレイな花束もいただきました。近々発売されるアルバムも楽しみです。頑張ってください!
のっけからこんな調子で、あっと言う間に客席も満員御礼〜!。これぞclub・加瀬コム!!。



ありがたいことに早い時間帯から多くのオーディエンスでフロアが埋まる。急遽AS CUBEの上岡(Vo)をD.J.ブースに引っ張り出してのトークでカラフルに幕開け。そしてまずはイベントの趣旨説明、そしてトップ・バッター紹介、「フロアの温度を上げてくれ!」満を持して逆EDGEの登場。
上手に富間(G、Vo)、中央に斬波(Dr)、下手に川崎(Vo、B)、更にフライングVベースにギブソン・エクスプローラー。見事なまでにバランス重視。そして全員ロゴT。富間は"METALLICA"(基本)、斬波は"みぞおち"(不思議)、そして川崎の胸には"ざわ..."(.....涙)。多分事前の打ち合せなんかなくって、ほっといてもちゃんと揃ってんだろうね。ステージも同様、誰かが突出するワケでもない。敢えて言うなら川崎なんだろうけど、それでも行く時と退く時をちゃんと弁えてる。
前半はパンク・バンドらしい、メッセージ性の強い歌詞の作品が並ぶ。元来逆EDGEの歌詞世界は社会風刺的なもの。反体制、生きる上での矛盾との闘い、そして葛藤。「その幸せは何を満たした?繰り返される退屈な安らぎだろう?」("HUMANITY")「嘘は決して突き通せやしない」(正義の名の下に).....マイナー・コードとアップ・ビートの応酬はJ・パンクスの王道以外の何物でもない。が、このバンドはそれだけで終わらない。それが最初のMCを挟んで初見のオーディエンスに明らかになる。"北海道物産展"〜"千葉物産展"のメドレーは、オレが彼らを"バカ・パンク・トリオ"と呼んでる所以。この2曲に限らず、逆EDGEには"アイデア"がある。それは多くのバンドを仕切り、毎日のように若いバンドにアドバイスをするひとりの"ギョーカイ人"としての川崎による"戦略"であり、その割合は彼らのディスコグラフィを見て貰うと良く解る。が、しいて問題点を挙げるとするなら、逆EGDEそのものがその2種類の方法論/本音と戦略の間で悩み苦しんでいること。だがそれも彼らの於かれている特殊な立場故、ラストの最新曲"残像"を聴きながらフロアのオーディエンス達が感じ取ったジレンマ.....それが逆EDGEが今後克服すべき大きなポイント!。

さぁ、いよいよlive actです。逆EDGEの登場に会場が沸きます。のっけから激しい曲の連打!Vo&Gの川崎さんが何度もジャンプ。会場をあたためると言うより火をぶちまけるようなステージに、客席も釘付け。かと思えば、"北海道物産展""千葉物産展"という笑いを誘うナンバーも。イベント後、顔見知りのとあるお客さんは「物産展が回ってる....(笑)」とかなりのインパクトをうけたもよう。途中、MCで加瀬さんに突っ込まれつつも(笑)、続く"東京""残像"ではGの富間さんもVocalをとり、激しいパンク・バンドの真骨頂を見せてくれました。最後に大きく川崎さんがジャンプしてフィニッシュ!トップ・バッターとしての役目を見事に果たしてくれました。



ヴェッテル・ファンを公言しておきつつ何でフェラーリ帽子なんだ、というツッコミを自分にしつつ(笑)、"Truth Drum'n'Bass Mix"をバックにF1コーナー。事前に作った今日のofficial guideに載っている加瀬竜哉のもうひとつの専門分野。何しろ昨年、遂にプロのモーター・スポーツ・ライター・デビューしたばかり。
トークのポイントは何しろ小林可夢偉の存在。"昔流行った"ってのは極めて厄介な状況。事実、ここでセナや中嶋悟の名前を出せば多くのオーディエンスがうんうんと大きく頷く。そう、皆知ってるんだ。で、バブルや時代ってのももちろんあるんだけど、固定客以上にも以下にもならないのはただひとつ"大スターの存在"だけ。中嶋、亜久里、右京、そして佐藤琢磨が出来なかった日本の悲願を2010年の今、可夢偉という若きサムライが成し遂げるかも知れない。なのにこの不景気で日本企業が全然可夢偉をバックアップで出来ずにいる。マーケティング目的だけじゃない、夢を掴むという素朴で壮大な目標を、国際的な視野で捕らえるべき。
だったらオレを含む誰かが個人スポンサーとして名乗りを挙げるとか、署名制度で募るなんてのはあまりにもナンセンス。オレの仕事は、それを企業に気付かせるために声高に訴え続けること。丁度海の向うで伝統のモナコGP取材中のSTINGER編集長に成り代わり、オレが底辺から叫びます。VIVA・Formura1!。
F1-STINGER・スクーデリア・一方通行

ステージ転換時にも何かが起こるのがclub・加瀬コム。ここでは加瀬さんによるF1トークが炸裂。いつの間にかフェラーリ帽かぶってるし(笑)。そうなのです。今年のF1には、小林可夢偉という、日本の「夢」を背負ったドライバーが、それを可能に出来るかも知れないドライバーが居るのです。加瀬さんの言うように、大きなことはできませんが、底辺から盛り上げていくことはできると思います。世界を相手に闘っているひとりの日本人、F1を見たことのない方々も是非!ご覧になってみてください!



さて、ステージを覆う幕のない造りのCHELSEA HOTELの性、セッティングのためにAS CUBEの面々が登場するや、フロア最前列めがけて一気にファンが殺到。更に、そこでオレがトーク・ゲストに"武道館アーティスト"のアンカフェを登場させたモンだからフロアも一気にヒート・アップ。
「敷かれたレールの上を走る」.....ロッカーが最も嫌うこと。いや、そこに反発するところからロックは始まる。初めて彼女達に逢った時、アタリマエながら決してロッカーの顔はしていなかった。そして今日、舞台上に立った彼女達の顔は.....自分で言うのもナンだけど、この機会が実現して本当に良かったと思う。迎えるオーディエンスと一体になって、AS CUBE史上初の"企画外ライヴ"がスタート。
衣装、曲順、構成、MC.....何でも自分達で、自由に決めて良い。それは今回が初めてという彼女達の苦悩はオレには到底理解出来ない。単刀直入に言うなら、オレがAS CUBEに望んだのはそういうスピリット的な部分だけ。番組が終わって1年が経ち、もしも彼女達が出した答が「もう辞めよう」だったらそれはそれでとてもロックなこと。そして、もう誰も「やれ」とは言わないのに「やる!」と言うのならそれも極めてロックなこと。で、ロックはそのスピリットが生まれてからあとが断然面白い。だからオレはその決断の機会を作った。ソレをプロデュースと言うのならそうかも知れないが、オレが望んだのはセルフ・プロデュース。よって、彼女達が出したのは最高の答だった。
楽器と歌の両立にも慣れ、終始笑顔の上岡麻佳(Vo、G)。元々オレが最もロックなスピリットの持ち主だと思ってる富田沙織(G)、最も音楽バランスが取れていて成長も著しい安田早希(B)、そして後方からメンバーに熱視線を送ってグルーヴを司る富田早矢香(Dr)。オープニングの"ほじくりたいっ!"から客席も大合唱。中盤の"なぜ?..."は「早矢香に『麻佳はラヴ・ソングのイメージがない』と言われたので『やってやる!』と選んだ」というカヴァー曲(Hysteric Blue)。うん、その理由はヒジョーにロッキンだ。これでようやくAS CUBEが立派にロック・バンドとして確立されたことを再確認。
最後のMCで麻佳の語った「加瀬さんが私のギターを拭いてくれた」エピソードってのに全く記憶がないのは申し訳なかったが、短時間で濃密な内容となったデビュー曲"未来"のレコーディングはオレにとっても想い出深いもの。何しろ、誰かの"初体験"に立ち会えるってのは極めて光栄なことじゃん。で、こういうことがあると本人はこの先ギターを拭く度にオレのことを想い出してくれるワケ(笑)。いや、そんなことって意外に人生に於いて重要なことかも。ともあれ、これで今度こそ"未来"が語れるんだ。AS CUBEの新たなスタートに立ち会えて嬉しいよ!。多忙な中、駆け付けた石川英郎(AN'S ALL STARS)も「良かった」と終始笑顔。

初めての「自分たちのため」のステージ、AS CUBE!心配していたセッティングも自分たちで何とかこなし、麻佳ちゃんの元気の良い「AS CUBEでーす!」の声から、ついに念願の「ライブ」スタート。出演が決定して以来、多分わからないことだらけの「普通のライブ」についてとても積極的にあれこれ質問してきてくれてました。そうして迎えた今日の日、立派に「ガールズ・ロック・バンド」としてステージに戻ってきてくれました。以前からの曲に加え、今回新たにカバー曲も披露。変な言い方ですが、1年以上ライブをやっていなかったとは思えないほど堂々としたステージ。元気いっぱいのVo&G/麻佳ちゃん、負けず嫌いがそのままプレイに出ているようなG/沙織ちゃん、低音をしっかり支えるB/早希ちゃん、そして某Mさんが「一生懸命さにやられた!」と褒めちぎっていたDr/早矢香ちゃん。叩きながら歌っている姿、かっこよかったですよ!
ライブ後には、超過密スケジュールの中駆けつけてくれたAN'S ALL STARSの石川英郎さんとのトークも。応援してくれる人がいるのはありがたいこと。
みなさんにお配りしたCD-R/radio・加瀬コムでも「今後のことも考えている」と語っていましたが、さてこれからの彼女らの活躍に期待!



渋谷区宇田川町。渋谷CHELSEA HOTEL、つまり今我々がいる場所。公園通りから東急ハンズの前を通って井の頭通りへ降りて来る通称"オルガン坂"の途中にこのハコはある。今から45年前/オレが生まれた1964年(昭和39年)、公園通りという名も東急ハンズもまだなかったが、景観はさほど今と変わらなかった。でも、その50年前、その風景は今と全く違っていた。小川がサラサラと流れ、岸にはすみれや蓮華が咲き誇り、エビや小鮒の群れが泳いでいた。
そう、童謡"春の小川"の舞台となったのはまさにここの景色。1912年(大正元年)、国文学者・高野辰之によって詠われた東京・渋谷の風景。
震災、戦争、そしてそこからの復興。誰も責められやしない。でも、そのために失われた犠牲はあまりにも大きい。オレが言いたいのはその事実を知り、感謝することだけ。知らないことは罪じゃないし、平和の象徴でもある。でも、知ったあとに沸き上がる感情も尊いもの。見方が変われば扱いも変わる。自分がそうだったから、全てのオリンピック・ベイビーにそのことを伝えたい。
坂君は"暗渠熱中人"(NHK)を観てくれた。よって、何も言わなくても意味を解ってる。だからオレからは「ピアノを弾いて欲しい」としか言わなかった。予想を遥かに越える素晴らしい演奏にただただ感謝。彼は本当のプロフェッショナル。初めてのピアノ・ヴァージョンの"春の小川"、きっと足元の宇田川にも届いたと思うよ。
no river, no life

さて、ステージにはFROGのセッティングが完了。そしてピアノの坂さんだけが残り....きれいなピアノの調べの中、今日初めて加瀬さんがD.J.ブースからステージへ。no river, no lifeのコーナーです。坂さんのピアノをバックに、「春の小川」を歌う加瀬さん。蓋をされてしまった川たちへの想いを語る加瀬さんの言葉に涙するオーディエンスも。この場所で話すということに、いつもとはまた違った重みを感じました。多くの人が加瀬さんの言葉ひとつひとつに頷き、今まさに足下に息づく川へ想いを馳せるように。坂さんのすばらしいピアノもそれをそっと支えてくれました....。



オレのレコーディング・キャリアはCymbalsのデビューとほぼ同時期にスタートした。'99年当時、宅録出身のオレは波形編集は得意だったがレコスタのノウハウではまだまだ負けていた。で、実はCymbals初期の頃、オレはひとつの壁にブチ当たり、人生を考え直していた。ぶっちゃけ、こりゃもうムリかなと思っていた。ところがメンバーは違った。最もプログラムの足を引っ張ってそうだったオレを指名し、結局解散の頃にはオレが全てを任されていた。.....これは完全にオレの人生の中でも意外性の高い出来事で、正直に言えばCymbalsを通してオレというエンジニアは確立されたと思う。
ま、そんなメンタル面が壮絶にややこしいオレに対し、その上を行く神経質男が沖井礼二である。Cymbals解散('04年)以降、何があったかも解ってる。で、オレもそのまんまその精神状態を作品に一緒に反映する。だから"マジック"ではなく計算による必然。が、そんな出逢いはハッキリ言って奇跡。このコンビネーションは彼自身がradio・加瀬コムでも言ってる通り"自慢の仲"。気持ちワルッ(爆)。
FROGという彼のプロジェクトにオレが必要なオペレーターであることは当然疑いようがないが、ここでは光栄なことにオレというミュージシャンの居場所もある。が、それはあくまでも制作面での話であって、ライヴ・ステージという聖地はまた違ったフィールドだった。そして、そのパンドラの箱を空ける機会がやって来た。モクモクと煙が出て来てじーさんになるかも知れないが、初共演の機会は来た。
FROGの音楽はノン・ジャンルであり、例えばCymbalsを"渋谷系"とか"ギター・ポップ"とか呼べるのを考えるとどうにも形容のしようがない。が、もういい加減コレは"沖井系"と呼んでも良い筈だ。ジャズ・テイストの"長いナイフの夜"、プログレッシヴな"GREEDY"、4つ打ちの心地よい"METAMORPHOSIS"。こんだけあらゆるサウンドを自分のものに出来るのはそれが沖井礼二だからであり、オレもその成長と共にキャリアを積み重ねて来た証し。それを、今までCDという媒体を通してしか得られなかったオーディエンスからの生の感触を得られる機会が嬉しい。「今夜は"加瀬コム・ナイト"へようこそ」.....ありがとう、そんなタイトルじゃないけどね(爆)。
青野りえ(Vo)中心のセットから中盤はもうひとりのスター、新井仁(Vo、G)を迎えての構成。"Here Comes the Sun"は沖井もオレも羨ましがる男のダミ声炸裂曲。ステージでゴールド・トップなんか抱えてやられた日にゃかなわんね。"時代遅れの男"も、本来ファースト・アルバム"Example"で高津哲也が歌っていたナンバーをもはや完全に自分のものにしている。最強の6人、豪華な音の洪水となる"Amphibian Ark"で一旦ステージ終了。鳴り止まないアンコールの手拍子に、オレの心臓もバクバク言い始めた。

いよいよトリ/FROGの登場です。客席のテンションも最高潮。出だしから沖井さんのベースが唸ります。Cymbals時代を知らず、スタジオで朝まで....いやヒドイ時は昼まで(爆)レコーディングしている姿ばかりを見ていた私は、初めてFROGで沖井さんのステージ姿を見たわけですが、想像以上にアグレッシヴでパンクなのに驚きました。(以前怒濤のレコーディング中に「ライブでベース持った沖井さんが見てみたいなぁ....」とつぶやいたら「そーりゃかっこいでしょうねぇ。はっはっは」と他人事のようにはぐらかされましたが/笑)今日はまた一層アグレッシヴ。DrのGENさん、Gの見津さん、ピアノ&Keyの坂さん、そして優しいけれど抜けるような声の青野さん。それに途中からVo&Gの新井さんが加わり、6人編成のFROGが会場を煽ります。どの曲もすばらしいんですが、個人的に大好きな"時代遅れの男"が聴けたのも嬉しいです。メインボーカルは新井さんがとりますが、間に入る青野さんの「天からの声」パートが大好きです。最後は「カエルの曲」、"Amphibian Ark"。本当にカエルがジャンプしてるような優しい曲。不思議な空間に包まれて、本編終了....。



オレがメインに使っているギター、赤いフェンダー・ムスタング。もちろんFROGのアルバムでも使っているのはコレ。で、'03年にCymbalsのイベントでココに出演した時のギターもコレ。その同じムスタングを抱えて、空々しくもオレがステージに登場。.....元々、せっかくだから何か出来たら良いね、という話が、選曲になった段階でオレは困惑していた。何故なら、沖井のアイデアは「ひとつはムスタングというアイテムを活かすもの、そしてもうひとつは、こんな機会でもなきゃ出来ないもの」
"Smoky"は日本のムスタング・ユーザーの第一人者であり、オレも沖井も大ファンのCharの代表曲。ギタリストが誰でも憧れる"Em9"の響き。ジミヘンの泥臭さとフュージョンの上品さを兼ね備えた構成音。オレの曲にもその影響は出るし、もちろん沖井楽曲にも存在する。
"Mach 0.8".....Cymbalsのレパートリーの中でも相当にアヴァンギャルドなハーフ・インスト作品。歪んだオルガンとエッヂの効いたギターがEm9で激突。
この2曲をメドレーにして演りましょう、と彼が言って来た時、当然思ったのが「沖井がCymbals解散後にCymbalsの曲をplayしたことがあったか」である。答はもちろんNo、これが初めての機会となる.....。
リーダー・バンドの解散、そして個別の活動。その間の心の葛藤をここでツラツラ書くほどヤボじゃない。が、笑いながら「逆に、そういうことを演ろうと思ったらここしか機会がない。だから楽しみましょう」と言ってくれた彼がどれほど自分にとって大きな存在だったのかは解っていなかった。いくら感謝してもし足りない、加瀬コム5周年最大のプレゼントだ。
トレモロ・アームを駆使した前半/Smokyから「じゃ、皆の好きなヤツ演ろうか!」とMach 0.8へ突入.....もしかしたらオレと沖井の組み合わせ、でこういうサプライズを予想してた人も多かったのかな。「C'mon!」と突入したスキャット部は多くのオーディエンスが歌ってくれてたね。終了後の一際大きな拍手がこのコラボの成功を物語っていた。ありがとう。「Cymbalsナンバーはこれが最初で最後」は言い過ぎた(笑)。最初なのには間違いないが、次の機会がいつになるのかは沖井の「当分ない」が正解(笑)。
さ、ラストはそのままFROG名物、メロスピパンク2連チャン("Talking to a Brick-Wall"〜"Gangstars")に突入。ギッシリのフロアの最後列まで揺れてたよ。皆、最高!。沖井のジャンプとオレのチョーキングで本日の全公演、無事終了。

大きな拍手に呼び戻されて、再び沖井さんがステージに。でもギターが居ません....と、紹介されて加瀬さん登場!FROGと加瀬さんのコラボ、客席も盛り上がります。ドラムのカウントから始まったのはCharの"Smoky"!沖井さんが「一度はカバーしてみたかった。加瀬さんムスタングだし....」という曲です。歌ももちろん加瀬さん!いつもより一層とがったナイフ・エッヂのギター・サウンドが響き渡ります。長いギター・ソロから曲のスピードがあがり、そのまま始まったのはCymbalsの曲"Mach 0.8"。客席が大きくどよめきます。中には拳を振り上げる人も。皆さん、「待ってました!」なんですね。ここでVo/青野さんも登場、加瀬さんとともにきれいなスキャットを披露。客席も揺れてる....スゴイ。
そしてそのままFROGが再び全員ステージにあがり、加瀬さんも加わったままラストスパートに突入。特に"Gangstars"は私個人的にも大好きな曲。最後の最後まで揺れ続ける客席、すばらしい締めくくりでした。

そして、最後に出演者全員がステージに上がり、カーテンコール。大きな拍手とともにclub・加瀬コム2010閉幕!


何をやっても4年以上続かない加瀬竜哉、この5年目は本当にピンチだった。そして、何かある度に誰かがオレをハッピーにしてくれて、その人はオレにハッピーにして貰ったと言ってくれる。そうして今、生きていられる。そうしてこれから、また生きて行こうと思える。
疑問を真っすぐにぶつける逆EDGE、ポジティヴな未来の見えたAS CUBE、そしてゼロからのスタートを共に歩んで来たFROG。皆、ありがとう。
渋谷CHELSEA HOTEL、bazooka-studio、dragonlionスタッフ、そして加瀬コム管理人。皆、ありがとう。これからも迷惑かけると思うけど、どうか一緒に歩んでやって下さい。

「終わってみると、あっという間なんだよね....」と、ライブ後スタッフのひとりと話しました。本当にどれだけの方に助けられたかわかりません。恩返しするには、走り続けるしかないですね。走りますよ。これからも。
また次の機会に振り返っても恥ずかしくないように、今日からまた頑張ります。皆さま、本当にありがとうございました!これからもどうぞよろしくお願いいたします!

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