第二章・春の小川に逢いたい
第二章・第三節/春の小川を求めて
.....実は、no river, no lifeを書き始めてからオレの春の小川に対する想いは日に日に募り、アレコレと調べ続けていた。無理もない、側に暮らし、20年もの間その"暗渠となった春の小川"の上を歩きながらその事実を知らなかったのだから。
そして、2005年(平成17年)渋谷川の並木橋近辺に"渋谷区ふれあい植物センター"がオープンし、その敷地内で"春の小川の風景が再現されている"と言う情報を知った。渋谷川沿いを下流に向けて歩いて行くと並木橋を過ぎたあたりに清掃工場があるが、ふれあい植物センターはここに併設するような形で建てられている。また、ここは清掃工場の余熱で全ての電源を賄っているらしい。
明治通り/並木橋の先、清掃工場の脇にある渋谷区ふれあい植物センター
中へ入ると、吹き抜けの大きな温室のような1Fフロアの床全体が小さな小川のような造りになっており、豊かな水源の脇に様々な植物が花を咲かせていた。壁面には多くの花々と共に、自然豊かだった頃の渋谷の風景写真や、河骨川が春の小川のモデルとなった頃の写真を観ることが出来る。上空からは絶え間なく微量の霧が降り、心も身体も穏やかになれる、素敵な空間である。
館内は3階まで吹き抜け、頭上からは絶えず細かい霧状の水が降り続けている
.....可愛い"春の小川"があった
金髪でサングラス、の来訪者はオープン以来初めてかもね(笑)

続いて、こちらは同じく並木橋付近にある白根記念渋谷区郷土博物館。故・白根全忠区議会議員の寄贈により1975年(昭和50年)に開館し、2005年(平成17年)にリニューアル・オープンした。ここでは渋谷区全体の歴史の他、渋谷の地に暮らした多くの文化人の資料が展示されている。渋谷区ふれあい植物センターから徒歩で数分なので、渋谷区の歴史に興味がある方はこちらも是非御覧頂きたい。
白根記念渋谷区郷土博物館・文学館。渋谷から見て明治通りを並木橋先の東交番前交差点で左折、坂を登って国学院大学のすぐ隣。ハチ公バスが通っているが、散歩コースとしても最適なロケーション
国木田独歩、与謝野晶子らと並び、渋谷に暮らし渋谷を愛した国文学者・高野辰之氏
高野先生愛用の文具。この中に春の小川を御書きになった筆があるかも知れないんだね
壁には高野一家のパネルが。左が娘さんの弘子さん。春の小川誕生の立役者だ
1Fには豊富な渋谷区の歴史資料が並ぶ。観覧はもちろん、一部コピーも可能
渋谷の歴史の中でもひと際衝撃的な発見となった、地下鉄千代田線明治神宮前駅工事時に発掘されたナウマン像の化石についても詳しく紹介されている
昭和初期の渋谷の住宅の再現だそう.....そうだね、神山町の我が生家も遠からずこんな感じだったかな


.....2006年(平成18年)8月、山口県をtourした際に初めて春の小川をカヴァーした。そして、これからも歌って行こうと思う。自分が暮らしたその場所に、確かにその風景があったんだと言うことを、自分自身が忘れないために。

....1992年(平成4年)、我が家は土地主の都合で20年住んだ代々木の地を離れる必要に迫られる。28歳となっていたオレは母と愛猫と共に新たな居住地を探し、便利/商店街が充実/静か、などの理由により渋谷区本町6丁目、最寄り駅は京王新線の幡ヶ谷駅、と言う場所を選ぶ。

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